2021.12.14

期末利益調整について

医院経営コンサルティング①


 弊社の医院経営コンサルティングでは、決算月の約2か月前から利益を予測し、院長の希望を聞きながら黒字の使い道についてご提案させて頂きます。
例えば、古くなり償却も終わった医療機器の入れ替え、院内改装に伴う感染症対策コーティングなど、来期に向けた医院の発展と継続のための投資としての選択肢を提示します。また院長ご自身の法人保険を活用した退職金の準備なども、経営とのバランスを見ながら合わせてご提案していきます。
 弊社では、法人の節税対策を検討する際の優先順位として、
「① 患者様のため → ② スタッフのため→ ③ 自分のため」
の順番が基本であると考えます。

優先順位の図

 医療法人化して10年ほど経ち、経営も安定してきた50代の院長よりご相談を受けました。
「毎年、決算時期に2,000万円ほど利益が出ている。税理士には法人税の計算書を渡されるだけで、考える間もなく次の期が始まってしまう。なにか効率的に経費を使える策はないか」というもの。実は他の院長からもよくあるケースのご相談です。
 私たちのコンサルティングでは前述の検討する順番を守りつつ、院長にヒアリングをさせていただきます。この先生は、医療機器などの設備だけではなく、スタッフの働く環境も向上させたいというお気持ちが強くありました。現在どこの医療機関でも人手不足が慢性的な悩みの一つです。入職して1週間たたないうちに音信不通になる、約1年間研修を受けさせスキルが身につき始めた時に辞めてしまう、また、突然何の前触れもなく大人数で一気に退職するといったケースを何度も耳にしました。この医院では福利厚生の一環として、医院が主催する交流イベントや研修旅行など、スタッフにはかなりお金を使っているそうですが、離職率は一向に変わらないとのこと。
 そのご意向と現在の悩みから②のスタッフのための投資の一つとして「退職金制度」を導入することをお勧めしました。

 この退職金制度の最大の目的は離職率を下げ、一定レベルの人材を定着させることです。また、「スタッフにできるだけ安心して長く勤めて欲しい」という院長の気持ちの表れが、医院全体のモチベーション維持につながると考えています。実は、退職金制度の導入は求人でも効果を発揮します。転職を考えている人は何かしら現在の職場に不満や不安を抱えています。昨今では職場選びの決め手として給料や賞与など金銭面の待遇よりも、安心して長く勤められる医院の将来性や制度が求められています。
 乗り気でない食事会や研修旅行に参加させて年間一人当たり5万円使うよりも、同じ額を退職金として積立するほうがスタッフから感謝されるという現実を、受け止めなければならない時代に移り変わっています。
 また、コロナ禍で患者様とスタッフの命を守るための感染症対策もご提案させていただきました。こちらは院内にポスターで告知し、ホームページに詳細を掲載します。安心して通院できる医院としてのブランディング施策は、患者離れと新患の増加が見込めます。

AVAC施工写真

 また、③自分のための投資として、不測の支出が発生した際に事業資金としても使える法人保険の提案もさせていただき加入されました。
 結果として利益を1,000万円以下に抑えましたが、まだ余裕がありましたので来期に向けて役員報酬を合計50万円/月アップすることにしました。

 私は基本的に経費の使い道を指南するのは税理士さんの業務ではないと考えています。経費の使い道を最終的に決めるのは医療法人の理事長で、その経費が何の勘定科目になるのか、またどのぐらいの割合が今期の経費になるのか計算するのは税理士さんの仕事だと考えています。節税対策を顧問税理士に委ねてもこれといった提案もなく、もどかしいと感じておられるのは双方の業務範囲について認識違いが生じていると考えられます。
 冒頭にもお伝えしましたが、弊社では決算月の2か月前から利益予測をするために、第3四半期までの試算表を顧問税理士から頂きます。2,000万円の利益が出ると予測できると、あらかじめ経費として使える効果的な策をいくつかチョイスし、担当税理士と前もって打ち合わせを行います。改めて院長を含めた3者で打ち合わせをし、節税と来期に向けた投資の方向性を決めていきます。

打合せの流れ

 毎期このサイクルを回すことで、無駄のない効果的な経費戦略が実行できます。

 利益の使い道は、多くの院長が最も頭を悩まされることのひとつです。それぞれのお悩みにしっかりとコミットできるよう、顧問税理士ともきちんと打ち合わせを行い、医院にとって最適なご提案をさせていただきます。

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