生命保険の見直しと適正化

ドクターズライフプランニング①


 私たちのコンサルティングで最も多いご相談が、生命保険の見直しです。ある時は段ボール箱4箱分の保険証券が届き、会議室の大テーブルに並べ分析したこともありました。その保険料の総支払額は医療法人と個人を合わせて年間4,000万円を優に超えていました。

 そもそもなぜ生命保険の見直しをご依頼されるのでしょうか。
 マイホームの次に高いと言われる買物であるはずなのに、家族や医院のことを思って加入したはずなのに、担当者から十分に説明を受け慎重に決断して判を押したはずなのに、とコンサルティングの仕事を始めたころの私は保険を見直すこと自体が不思議でなりませんでした。
 昨今保険外交員による不祥事が相次いでいます。最近ではかんぽ生命の二重契約や不利益になる保険への乗り換え、第一生命ベテラン外交員(当時89歳のおばあちゃん)の19億円不正取得、昔は明治安田生命を筆頭とする保険金不払い問題など数え上げればキリがありません。
  私自身こんな経験があります。税理士さんに勧められた掛け捨ての保険で死亡保障額の合計が1億円の生命保険に加入されている院長に
「資産が2億円以上ありますし、お子様も独立されている、借金もないですからこの保険は必要ありません、解約してご自身のために使いましょう」
と提案したところ、税理士事務所の担当者T氏が血相を変えてこう言いました。
「この保険は絶対に必要な保険ですから継続しましょう」
 その瞬間、私の頭の中は?マークがたくさん飛び交っていました。明らかに素人が見てもわかる必要のない保険の解約をどうしてこんなに全力で阻止してくるのか。ド正論を言われヤケになっているのか、提案した張本人だから取り繕うことに必死なのか、プライドを傷つけられ怒っているのかわかりませんでした。T氏に何度この保険が必要な理由を聞いても、曖昧な返事ばかりで明確な理由は教えてくれませんでした。結局2、3度会っただけの私の意見より10年以上の付き合いがある税理士事務所の意見を受け入れ、院長先生はこの保険を継続することにしました。
 保険の見直しに数多く携わる中で、いわゆるムダな保険に加入する(している)理由やトラブルになるケースは外交員(代理店)と契約者の双方に問題があることに行きつきました。

-外交員(代理店)側-
・営業ノルマがきつい。目標達成できないと手数料収入のランクが下がる。
・解約されるとペナルティが発生するケースがある。
・保険商品により手数料収入が変わるので、実入りの良い保険を提案してしまう。
・保険商品の説明不足

-契約者側-
・親族や友人知人から外交員を紹介され義理的に加入してしまう。
・提案内容をほとんど把握せず誠意や情熱に負け契約してしまう。
・紹介者との人間関係を気にして無駄な保険だとわかっていても止められない。
・加入した保険商品に対する知識(理解)不足。(保険料の値上り時期や受給条件など)

 後から知ったことですが、T氏は勤務している税理士事務所には内緒で保険を勧め、手数料をもらっていたとのことです。加入してからまだ日が浅く、解約されてしまうと先にもらっていたバックマージンのほとんどを返さなければなりません。またこのことがバレてしまうと事務所をクビになる恐れがあったため必死で抵抗していたようです。院長も表の顔として誠意があり真面目なT氏に勧められた生命保険を無下に解約するのも気が引けたのではないかと推測されます。

 

 生命保険とは基本的に、家族のうち主に家計を支える院長が不測の事態(死亡や就業不能状態)に陥った時、残されたご家族が生活できるために加入するものです。そこで、この「生活に必要な金額」を知ることが重要になります。そのためにはライフプランの作成が必要不可欠になります。生活に必要な額とは、月30万円とか100万円とかのざっくりしたものではありません。ライフプラン上の支出の合計を言います。いわゆる基本生活費やお子様のための学資、お子様が独立された後の奥様の100歳(最近はこの年齢まで計算しています)までの生活費です。
 例えばこのライフプランの支出合計が2億円で加入されている生命保険が死亡保障合計1億円、資産が1億円あれば、新たに死亡保障目的の生命保険に加入する必要はありません。私たちはライフプランの支出合計は必要保障額で、生命保険の死亡保障額と資産の合計を準備保障額と呼んでいます。奥様も働いており生涯の収入予測が1億円見込めるのであれば、準備保障額は合計で3億円になりますので、院長が加入されている1億円の生命保険は必要ないということになります。保険加入の目的がリタイア後に楽しむための資金であれば話は別ですが、死亡保障としての保険は必要ないということになります。
 例えばお子様が全員独立されると不要な保障が発生しますので、この保険料のお金の使い道や目的を変更検討するタイミングが本来の保険の見直しであると考えます。

 弊社へのご相談で「保険の見直しをしたい」というクライアント様が多数おられます。そもそもいくつ保険に入っているのかわからない、内容もおぼろげにしかわからない、医療法人化したのに法人保険を活用していない、・・・などご自身で加入されている生命保険を把握されていないことがほとんどです。弊社ではまず保険の加入目的をヒアリングする所から始め、ライフイベントに応じて適切なご提案させて頂きます。見直し後、年間数百万円の保険料の削減ができたケースは稀ではありません。

 日本の保険業界の慣習もあり、本当に医院にとって必要な保障ではない事例も多く見られます。必要額が不足していることは稀で、多くは過剰な内容です。不必要な保険を見直すことで患者様やスタッフの皆さんに還元することもできます。まずはご自身の加入保険の数と内容を把握するところから始めてみてはいかがでしょうか。

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